尺骨神経麻痺

スポーツや重労働による肘関節神経損傷は、通常、肘関節の脱臼や骨折と関連しています。その中でも尺骨神経の損傷が最も一般的です。特に最近では、スノーボードによる怪我が増加しています。

こうした状況では、一般的には肘部管症候群として診断されることが多いですが、注意が必要で、肘部管よりも体幹に近い位置で問題が生じることもあります。

尺骨神経麻痺は、野球などのスポーツでよく見られます。野球では特に、スローイングや肘の屈伸動作中、あるいはその後に小指と薬指にしびれや筋力低下が生じることがあります。投球回数の増加に伴い、ボールを握る力が弱まると感じることもあります。

初期段階では、安静時に知覚異常が現れることがあり、筋力低下はまだそれほど目立ちません。

尺骨神経麻痺の主な原因には、変形性肘関節症と尺骨神経脱臼があります。変形性肘関節症による尺骨神経麻痺は、肘部管底部の骨棘による圧迫が原因です。一方、尺骨神経脱臼による麻痺は、肘を曲げた際に尺骨神経が脱臼する状態で、内反肘、靭帯の問題、尺骨神経溝の低形成などが影響を及ぼします。

尺骨神経の反復性脱臼が必ずしも神経障害を引き起こすわけではありませんが、投球などで肘の屈伸を繰り返す競技者では、摩擦性神経障害が生じるリスクが高まります。肘部管よりも体幹に近い位置での問題が発生することもあるので、慎重な注意が必要です。

診断

1. Tinel徴候（ティネル徴候）： これは、神経障害のある部位を軽く叩いた際に、手足の末端に痛みやしびれが走る現象を指します。神経が圧迫や損傷を受けている場所での反応を示すもので、安静時には症状が現れない場合でも、Tinel徴候があることで神経障害が示唆されます。
2. 筋電図： 筋電図は神経障害の診断に重要なツールです。脱神経電位や神経伝達速度の遅延、そしてinching法による絞扼部位の確認が行われます。ただし、軽度の場合や初期段階でははっきりとした所見が得られないことがあります。そのため、臨床状況と相互に評価することが重要です。
3. Froment徴候（フロマン徴候）： Froment徴候は、手の指を使って物を握る際に特定の指に力が入りにくくなる兆候です。これは尺骨神経の損傷によって引き起こされることがあります。他にも神経障害や筋力低下の評価に役立つさまざまな身体的兆候があります。
4. X線： 変形性肘関節症の場合、肘部管内の骨棘を確認するためにX線検査が一般的に行われます。X線を通じて、肘部管の状態や骨棘の有無を観察できます。より詳細な情報を得るためには、CT（コンピュータ断層撮影）も使用されることがあります。CTを利用することで、骨棘の大きさや位置などをより詳細に評価できます。

これらの診断手法を組み合わせて、神経障害の程度や原因を特定するのに役立ちます。患者の症状や臨床状況に基づいて、最適な診断方法が選択されることが一般的です。

治療

整形外科において、肘関節の神経障害に対する一般的な治療法は、初期段階ではブロック注射などの治療が行われます。これによって一時的に痛みが軽減されることがありますが、再び肘に負担がかかると症状が再発することが多いのが特徴です。特にスポーツを再開する場合や活動時間を延長する際には、注意が必要です。

肘の負担を最小限に抑えたスポーツ活動を実現するために、根本的な改善が必要です。その際に骨盤の状態も考慮されます。骨盤が歪むと、肩甲骨の運動が乱れ、腕や肘に余計な負担がかかりやすくなります。通常、正常な骨盤の位置にあれば、体の不調が現れにくいですが、骨盤に歪みがある場合、様々な症状が発生する可能性があります。

当院では、骨盤矯正を行う際にボキボキするような刺激を一切使用せず、優しい手法を採用しています。これにより、骨盤の歪みを整え、肘にかかる負担を軽減するサポートを提供しています。尺骨神経麻痺は進行性の疾患であるため、早期の改善が非常に重要です。肘の痛みやしびれでお悩みの方は、ぜひ当院にご相談いただければと思います。

また、肩こりや腰痛など他の症状にも対応しており、患者様一人ひとりに合わせた施術を提供しています。お気軽にご来院いただき、お身体の不調についてお話しいただければ幸いです。